第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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「そんな……何でもかんでも知ってるわけじゃないよ? 家族関係とかはあんまり知らないし、学校関係くらいのもんだよ」  踏み込んじゃいけない所と関わってもいい部分を探るのはしんどい。だけど、それくらい気を配らないと迷惑になっちゃうし。成島はきゅっとメノウ様を握りしめた。 「だから、僕が金賞取ったこともちゃんと知ってて、覚えてくれたんだね」 「まーそりゃ、去年のことだし?」  さすがに忘れないでしょ、と返せば成島がいっそう深く笑った。続けて遠山まで、確かに……園田……よく覚えてるよね……とつぶやいた。  俺が露払いやったの小学生だし……そんなの記憶の彼方だよ……埋没してるよ……と言うけど、遠山はちょっと特殊だと思う。でも、仁羽は片眉を跳ね上げて「確かにな」と重ねた。 「……俺がボーイスカウト入ってたっつーのも、小五までだしな。別に隠してねえけど、公言もしてねえし。そんな大層なことじゃねえのによく覚えてんな」 「……まあ」  感心した風に言われるので、適当に返す。そんなスゴイことのように言われても、俺にとっては当たり前のことだから困ってしまう。     
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