第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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 そんなの覚えているくらい、当然だ。してほしいことがあるならまずは自分でやってみないと、それはただのワガママだ。 「そっかー、すごいねぇ、園田。メノウ様も感心だって言ってるよ!」  輝くように笑うから、そんな大層なことじゃないのになぁ、と改めて思った。そんな風に、まるでとてもスゴイことのように言わなくても。  ……まあ、この三人は普通よりもかなり周りに対する意識が薄いので、そう思うのかもしれない。 「お前らはちょっと特殊かもしんないけど、普通だよ。普通」  そんなスゴイ話じゃないって、と続ける。確かに浮いてて消極的にはハブの三人だけど、どんな風に学校生活を過ごしているかくらい、ちょっと見ていたらわかってしまう。 「何もかも全部覚えてるわけじゃないし、知らないことだってあるし。ただ、ちゃんと覚えとこうって思うだけだもん」  ただそれだけで、特別なことじゃない。いつかきっと忘れてしまう記憶だけど、せめてつなぎとめていようと思う。笑いながら言ったら、仁羽が不思議そうな顔した。遠山はぼんやりこっちを見ていて、成島は首を傾げる。 「些細なことかもしれないけど。知ってることがあるなら、せめて一秒でも長く覚えてたいじゃん」
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