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「抵抗しないのか?」
「……」
「まあ、どうでもいいけど」
俊幸が無反応を返すと、雪耶は覆いかぶさっていた上体を起こし、押さえつけていた手首を解放した。
「俺は理由を聞きたいだけだ。あんたがそれを話してくれたら、俺はもう消えるから――」
「悪かった」
ゆっくりと上体を起こし、掴まれていた手首をさすりながら、俊幸は謝罪の言葉を口にした。
「俺は最低の父親だ……いや、もうお前の父親と名乗る資格すら、持ち合わせていないが……」
「答えになってない」
雪耶の瞳に再び怒りの火が灯る。凄味を帯びたその声に、自然と肩が竦む。居たたまれなくなり、視線を下げ、掴まれた痕が残る手首を見つめていると、突然雪耶の腕が伸び、それを取られた。
「これは何だ?」
左腕を掴まれ、手首に刻み込んだ傷痕を見られる。
「死ぬつもりだったのか?」
「……生きる意味があるのか?」
晒された痕から目を背け、俊幸は淡々と答える。実の息子に手を出してしまった後悔は、何よりも俊幸自身を苦しめた。
その後悔の果てに選んだ道が、自らの手でその生涯を終わらせること。結局死にきれずにこの年まで生きてきたのだが、その思いは今でも変わらない。
「そうだ、お前は俺を恨んでいるだろう。いっそのこと、俺を殺してくれないか?」
いまの俊幸にとって、それこそが最善の答えだと思った。
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