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周りの女子はほとんどが着物姿だけど、俺にとって興味のない女の晴れ姿を見てもどうってことはない。
それは涼介や良彦も同じのようで、俺たち男三人他の女には目もくれず、雑談しながら待つ。
本当は明日美に会えるのが嬉しくて、早く晴れ着姿を愛でたくて、キョロキョロしたいところだけど……。
そんなみっともない俺を明日美に見られる訳にはいかないから、必死に我慢して雑談に専念する。
「おまたせー。みんな久し振り!町田くんとはこないだも会うたけどね」
「おっ!?おおっ!!ちょ、ちょっ、おま……真実か?」
良彦が山本の声を聞いたとたん立ち上がって歩み寄って行った。
涼介と俺もつられて立ち上がったが、あ…………。
一番後ろにいた明日美の全身が目に入ると、そばに近寄りたいのに金縛りにでも遭ったかのように動けなかった。
こういうのを艶姿というのか。
いつも見ている明日美だって文句なしに可愛いけど、今日の明日美は格別に綺麗で心拍数が跳ね上がってるのが分かる。
ヤバい、どうしたんだ俺。
明日美と上手く視線を合わせることができない。
俺をこんな風にドギマギさせるなんて、罪な女だ。
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