351人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「友也、友也ってば!ねえさっきから黙ったままで。ど、どうかな今日の私。ちょっとは成人らしくなったかな」
明日美に声をかけられてハッとした。
いかんいかん、今のは挙動不審ってやつだろ。
俺としたことが……。
気を取り直して明日美の傍まで歩み寄った。
「今日の明日美いつもより……綺麗か」
耳元で囁いてやると、明日美の透き通るほどに白い肌がほんのり赤く色づいた。
席に着いてからは、俺の目の前に座っている明日美の後ろ姿を思う存分に眺め尽くす。
座っているから着物姿はよく見えないけど、アップにまとめた髪や、うなじのラインに目を奪われる。
触れたい、今すぐに……。
「えー!絶対嘘やろー!『早よう二人きりでいちゃつきたか』って言うたとやろ?」
隣に座っている山本が明日美に囁いているが、内緒話のつもりか?
俺に聞こえていないと思ったら大間違いだ。
『いちゃつきたか』とは言ってないが、そう思ってるのは確かだ。
でもきっと俺だけじゃないぞ。
良彦も涼介も頭の中は妄想だらけに違いない。
「まっまさか!そがん訳なかやろ!」
慌てて否定する明日美が俺の悪戯心に火をつける。
最初のコメントを投稿しよう!