プロローグ

4/4
前へ
/216ページ
次へ
あのダブルデートだ。 あれ以来、明日美との関係が崩れてしまった。 『明日美のこと本当に好きなの!?明日美から聞いたよ、御子柴くんと……まだだって』 青柳さんから話があると、車の中で二人きりの時に言われた。 "まだ"というのは、いわゆる体の関係のことだろう。 まさか他人からそんなデリケートな部分を指摘されるとは思わなかった。 まあ女同士、親友同士ならぶっちゃけた話もするのかもしれないが。 下手に明日美を貶めることも言えないし、不本意ながらも俺の人生プランを明かすしかなかった。 しかしその事を逆手に取り、自分に協力しろと言い出した彼女。 さもないと俺の人生プランを明日美にバラすと脅して。 出会ってから十五年、ずっと俺は明日美のことが好きだ。 俺のこの想いを告げる時は決めているが、それはもう少し先の話。 俺たちより先に、田代先輩と青柳さんをなんとかしなければ。 あっちが上手くいってくれないと、こっちも困るんだ。 そういえば、あの時もそうだった。 明日美と付き合うことになった高一の秋のこと。 例えフリだとしても、明日美と付き合うつもりなんてなかったのに……。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

350人が本棚に入れています
本棚に追加