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西暦2021年7月10日。
その日、彼らは突然宇宙からやって来た。
のちに“7・10”あるいは“ファースト・インパクト”と呼ばれた日である。
彼らはその日のうちに中東へ攻撃をしかけ、その後も世界各地を襲った。
当然、多くの国が戦うべく立ちあがった。
が、彼らはほとんど無傷のまま侵略を続けている。
人類は防戦を強いられ、3年経った今なお手をこまねいているのが実状だ。
すでに地球の半分以上が彼らの手に落ちている。
奪還を計画するめどは立っていない。
有効的な手段もないままで、立つはずがないのだ。
このままいけば、日本が彼らの標的となるのは時間の問題でしかなかった。
そしてその“Xデー”は、ある日突然やって来る――。
ゥウゥゥゥゥゥゥ……!
ゥウゥゥゥゥゥゥ……!
街のスピーカーからJアラートの警報がけたたましく鳴り響いた。
ざわざわと騒ぎ立つ教室。
カズヒロが表情を強張らせる。
方やアミコは、サチと顔を見合わせた。
「何?」
「何の騒ぎ?」
クラスメート達が隣同士で顔を見合わせる。
窓へ駆け寄る橋野。
何人かの生徒がそれに続く。
Jアラートの警報が静まり、危機感のない女性の声に替わる。
『ただ今、太平洋沿岸に「母艦」の接近が確認されました。該当地域の近隣住民のみな様は、速やかに避難してください。繰り返します。ただ今、太平洋沿岸に……』
ますます騒がしくなる教室。
「宇宙人がこっちにくんのか!?」
「おい、ヤベえよ!」
窓辺でアナウンスを聞いていたクラスメート達が取り乱し始める。
隣り合う教室のざわめきも、壁を突き抜けて聞こえた。
「お前達、静かにしろ!」
橋野の怒号が飛ぶ。
しかし、それを聞こうという生徒はほとんどいない。
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