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「篠田は一途だねえ」
少しだけ笑いを含んだような、それでいて馬鹿にしたような彼の言い方に、私は完全に不貞腐れて、ほっとけ、と投げやりに言い放った。
あーあ、可愛くない。
こういうところの所為で、女っぽくないと高倉や家族に言われてしまうのかもしれない。
私の母は頗る美人だし、色気もある。父親も近所で男前と騒がれているし、兄も芸能事務所に入っているから俗に言うイケメンだ。
しかし、私は誰に似てしまったのか。
全く可愛くないし美人でもない。
百歩譲って中の下だ。
閉められたカーテンの向こう側には、キラキラと輝いている、まるで本から飛び出した王子様のような先輩が、きっとあのスカートギリギリ女と仲睦まじそうに帰っているのであろう。
もう、正門を出た辺りであろうか。
私は、そんな先輩達のシルエットを脳裏に描きながら、小さく溜息を吐いた。
隣に立っている高倉との間では僅かな沈黙が続き、やけに外の役者達の声が鮮明に耳につく。
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