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俺は小学生の時に、自分の気持ちに気がついたと同時にその好きな女の子が誰をずっと見ているのかも気がついてしまった。
気付いてから「どうして俺じゃないんだ」と悔しい気持ちに押し潰されそうになった時もあったけど、
その女の子が想い人を見つめている瞬間の、あのキラキラと輝いている表情を見た時に、
その子が幸せである事が一番だと悟った。
自分の気持ちを押し殺してでも、彼女の幸せを願おうと思った。
それが、想いを伝えることすら出来ない自分の弱い部分を肯定する唯一の救いであるとも感じていた。
何より、今までのこの俺たちの関係性を壊したくないという気持ちが一番強いのかもしれない。
もし拓未が初恋の子に対して何か行動を起こしてしまえば、この関係性が崩壊してしまうのが想像出来た。
今まで10年近く保ってきたこの関係性が呆気なく崩壊する。
それだけは避けたかった。
そんな俺の気持ちを察知して、拓未は薄っすらとなだめるような穏やかな笑みを浮かべた。
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