直和と拓未

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「でも、だからって2人は付き合ってるわけじゃないし。」 確かにそうだ。2人が付き合っていない以上、彼女に何かアプローチすることを止める権利はない。 俺の、ただの自己満足に過ぎない事も分かっている。 「あいつの事が好きなら、幸せを願ってやるのも必要なんじゃないか?」 俺は必死の抵抗を続ける。 「直はさ、自分の気持ちは大事にしないのか?自分の本当の気持ちを押し殺して、相手の事ばっかり考えて、それでいいのか?」 拓未の様に自分の気持ちに正直になれたら、どんなに楽になれるんだろうか。 でも、俺はそうなれそうにもない。 彼女を笑顔にし続ける自信が、これっぽっちもなかった。 また黙って考え込んでしまった俺に、拓未は諭す様に言った。 「お前は優しいから、あいつの気持ちを優先にしたいのも、このままの関係性が続いて欲しいのもわからなくはないよ。でも、あと半年もすれば俺たちは高校を卒業してバラバラになる。いつまでも同じってわけにはいかないんだよ。」
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