奈波と直和

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頭上には、雲ひとつない青い空。 とにかく、暑い。 どこからともなく潮風が吹いてくるけど、塩分を含んでいるせいか、どことなく暑い。 暑くて立っているのも嫌になってきたので、とりあえず防波堤に座り込む。 こないだ、ここに座り込んで足をバタつかせたせいでお気に入りのサンダルを海に落っことしたのを思い出す。 サンダルを落としたのを心配してくれた拓未には、あれから会っていない。 拓未は都会での就職が決まって、この町を出て行く。 実家が水産加工工場をやってるから家業を継ぐ為にこの町を出ないんだろうと思っていたけど、 実際には私の想像以上に複雑な事が色々あるみたいで、 それを思うと私もなんだか複雑な気持ちになる。 親友のゆっこも、大学進学でこの町を出る。 彼女は陸上の選手なので、それを続ける為に都会の大学へ推薦入学で進学する。 みんな、この町を出て行く。 かという私も実家のレストランを継ぎたいから、調理師免許を取得しに専門学校に進学する予定で一旦この町を出るけれど。 座り込んだ防波堤からずっと先に目線を向ける。 目の前には、小さな船が見える。
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