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なんだか意外だった。
直は優等生で成績も良く、都会の大学に進学するもんだとばかり思っていた。
そんな私の考えがわかってしまったのか直はちらりと私の方を見ると、また地平線へと目線を動かした。
「なんか意外って顔してんな。俺ん家兄弟5人いるの知ってるだろ?大学に行く学費を工面するのも大変だからさー。長男の俺が働いて稼げば少しは弟と妹たちも楽になるだろ?」
元から直は私たち5人の同級生の中でも面倒見のいい性格だったけど、その根底にあるのが家庭環境から来てるものだっていうのを改めて実感する。
私はひとりっこだから、兄弟がいる感覚が湧いてこないけど、きっとお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなぁ。とぼんやり考える。
「それにさ、拓未は何も無くてつまんないって言うけど、俺、案外この町好きなんだよね。やっぱり自分が生まれ育った町は居心地がいいっていうか。」
そう言う直の横顔は、とても穏やかで迷いなんて感じられなかった。
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