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「つーかさ、お前はこの町出るんだろ?だったら尚更、洋人にちゃんと言った方がいいんじゃないの?」
予想外に洋人の名前を出されて、思わず面食らってしまい、自分の体温が上がってくるのがじんわりと感じられた。
直はといえば、したり顔でじっとこっちの様子を伺っている。
直は頭が良いだけじゃなくて、本当に勘が鋭い。
全部お見通しの様な態度に、嘘はつけないと思ったけど、やっぱり自分の気持ちを吐露するのは恥ずかしい。
でも何か言わないと、もっと恥ずかしい目に合う様な気がして小さく口を開く。
「うん、必ず戻って来るから待っててね。って言ったよ。」
私の言葉に直は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに呆れた顔に変わった。
「は?それだけ?ちゃんと好きだとか付き合ってとか言わないと、あの馬鹿は気が付かないぞ。でもまぁ、いつもは天真爛漫な奈波が洋人の事になるとしおらしくなる感じはかわいいけどな。」
直は目を伏せながら、穏やかな表情で呟いた。
自分の洋人への気持ちがばれている事にか、直にかわいいと言われた事のどちらかにはわからないけれど、胸の奥がザワザワした。
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