奈波と直和

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私が返事に困って下を向いていると、いつの間にか沖にいたはずの洋人とおじさんが乗った船が港に戻って来るのが見えた。 船上から満面の笑みで防波堤に座るこちらに大きく手を振る、洋人が目に入る。 直は私を一瞬ちらりと見てから、洋人が乗る船の動きをずっと見つめている。 舟が着岸すると、洋人は船から飛び降りて私たちがいる防波堤へと駆け足でやってきた。 首に巻いたタオルで額の汗を拭いながら、走ってきた呼吸を整えて直へと声をかける。 「なんだよ、直がここに来るなんて珍しいな。」 直がここにいることがただただ嬉しいかのように、屈託のない笑顔を向ける。 この笑顔は直へと向けられているのはわかっているけれど、少しくらい私へと分けてくれてもいいんじゃないのかな?とほんの少し嫉妬してしまう。 「ん、自動車学校の帰りでお前と奈波を見つけたからさ。ところで来週のみなと祭りはどうするんだ?」 偶然かもしれないけれど、直は私が洋人に聞きたい事をわかっていたかのように、さらりと洋人に質問した。
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