奈波と直和

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私が、暑い中この防波堤で洋人の仕事が終わるのを待っていた理由。 夏休みで学校で会えない中、携帯電話を持っていない洋人に直接聞きたかった事。 みなと祭りに参加するのか、しないのか。 元々漁師町の大漁を祈願したお祭りで、最近では日中に漁船のレース、夜には花火大会とイベント色が強くなったようだけど、私にとって年に一度のこのお祭りは引っ越して来た時からずっとワクワクする特別なものだった。 この町が、一番盛り上がるお祭り。 その祭りを、洋人と一緒に見たい。 この町を出る前に。 そんな少し邪にも思える気持ちを携えて、私は防波堤で彼を待っていた。 でも、そんな気持ちをよそに直が洋人の予定を聞いてしまった事に不意打ちにも似た焦りを感じながら、私は直と洋人の顔を交互に見る。 でももちろん、顔には出さないで平静を装って。 「あー、みなと祭りな。その日は圭ちゃんとこの産直市場の屋台の手伝いを頼まれてたんだよね。」 洋人が頭をかきながら答えた。
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