第2章 ルイーダと、瑠衣。

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ルイーダは――というより、ルイーダを操るプレーヤーである飯田瑠衣(いいだるい)は、俺をこのゲームに誘った張本人であり、俺の幼馴染みだ。 家が近く、同い年で、互いにゲーム好きだったこともあり、小さい頃はよく互いの家を行き来して遊んでいた仲だった。 高校進学で違う学校に通いだしてからは、会うことも連絡をとることもなかった。 俺は都内の大学を卒業し、そのまま都内の会社に就職した。 そして、つい3か月前のことだ。 隣の部署に、産休を取得した社員の穴埋めで派遣社員が入ってきた。 大人っぽく化粧をした顔ではすぐには分からず、ぶっちゃけて言えば一瞬見惚れたが、見覚えのある名前、見覚えのある癖毛を見てすぐ思い出した。 飯田瑠衣。 なお、ゲーム内のキャラクター名「ルイーダ」の由来については、俺のキャラより単純明快だ。 飯田瑠衣をひっくり返して、瑠衣・飯田。 片仮名にしてルイイイダ。 「…イが一個多いじゃねぇか。」 「うるさいなぁっ!」 誤魔化すために肩をばしっと叩いてくる、その手の早さは相変わらずで閉口したが、変わらないその態度に正直なところ、俺は嬉しさを感じていた。
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