第3章 白ウサギと、金の懐中時計。

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まぁ、言うは易し。 期間限定商品なんて、無課金プレーヤーがそうやすやすと手に入れられるシロモノではない。 桁が一個おかしいんじゃないかと目を疑ってしまう値段を横目に、ずっと前からコツコツとログインボーナスと日替わりボーナスを貯蓄している瑠衣の顔を思い浮かべる。 「そんな欲しいなら、課金すれば?」 と言えば、後頭部への重い一撃とともに、 「しがない派遣に課せるお金なんてありません!」 と一蹴されるのは、既に身をもって経験していた。 ――あいつ、今日でいくら貯まったのかな。 そう思いながら、フィールドへの入口がある広場へ戻ろうとして、 「…ん?」 マップのロード中に始まった、見慣れない広告画面に俺は目を奪われた。 服を着た白いウサギが、首にかけた金の懐中時計とこちらを交互に指差しながら、ぴょんぴょんと跳び跳ねている。 その頭上にダイアログが現れる。 “マネーが足りない方必見! 新システムによるこれまでにない課金スタイル、お金がなくても課金できます! →知りたい方はこちら。”
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