第1章 青野と、ブルーノ。

2/6
前へ
/52ページ
次へ
半年前に配信されたスマホ用ゲームアプリ、「ワンダーデザイア」。 ゲームタイトルと大体の世界観は、通勤中の電車の車内電子広告で何度か目にしていたので配信前から知っていた。 内容としては、よくあるMMORPGだ。 剣も魔法も妖精もドラゴンも、ファンタジックなものなら基本何でもありな世界で、モンスターと戦ったり、街のNPCから頼まれ事をされたり、素材を集めて武器を強化したり、パーティやギルドを結成して仲間を増やしたりしながら、プレーヤーは切磋琢磨し、より難易度の高いクエストのクリアを目指していく。 が、別に俺自身が興味をひかれてこのゲームを始めた訳ではない。 もとは別のゲームアプリに、時に寝食も忘れて没頭していた俺が、取り立てて話題にもなっていないこのゲーム「ワンダーデザイア」――通称ワンデザを始めたきっかけ。 それはもう、職場で偶然再会した幼馴染みからの、いわゆる「ご新規紹介ボーナス」狙いの勧誘。 ただただ、それに尽きた。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加