第1章 青野と、ブルーノ。

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自分で言うのも虚しいが、俺はゲームに関しては自他ともに認める重課金プレーヤーだ。 日々の勤めの対価として毎月口座に振り込まれる給料は、食費や家賃、光熱費などの最低限を残して、その時々で熱中しているゲームの有料の装備品やコレクター泣かせのガチャガチャに消えていくのが常だった。 「次の給料が入ったら、装備だけでも良いヤツ買うか…。」 そう無意識に呟いた後、はっと我に返り、いやいやと首を振って雑念を振り払う。 そもそもワンデザは、幼馴染みのボーナス目当ての勧誘に付き合ってやる、それだけのために始めたゲームだ。 既に結構な金額を注ぎ込んでプレイしていたアプリが現在長期メンテナンス中で、そっちがプレイ出来るようになるまでの暇潰し。 一応、サラリーマンとして安定した収入はあるにしろ、まだまだ平社員の身。 さすがに掛け持ちで課金プレイを楽しめるほど余裕のある稼ぎではないのは、自覚していた。
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