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「わかりました。彼は過去に行って自分を消そうとしてるんですね」
「え? 自分を消す?」
「はい。アルバムを見せてください」
素直にアルバムを渡し、集合写真のページを開くと、先生は宇宙がいたはずの空もとい空間を指差した。
「ここですね」
顔を近づけて確かめる。
「そうそう。ってえぇ!?」
「どうしました? すっとんきょうな声出して」
「ここにも人がいない! 確か私の旧友がいたはずなのに」
「とすると。ああ、過去が変わろうとしていることで他の人にも影響が出てしまってるみたいですね。具体的には他の人の存在も消えていっていますね」
それ、冷静に言うこととちがくね?
「えっと、つまり……ドラ……ネコ型ロボット的なあれですか」
「そうそう。そんな感じです。過去を変えるということは現在までに至る流れを無理矢理ねじ曲げるということになるので、予想もつかない何らかの作用を及ぼします。しかも今回の場合、存在していた人物の存在を無くそうとしているわけですから、とんでもない影響が生じるはずです。そんなことここで学んでいればわかるはずなんですが。よっぽどとんでもないことが起こったんでしょうね、その彼に」
「話し長いし、何を言ってるかわかんないけどーー」
ああ、思わず口調が荒くなる。
「とにかく宇宙を止めないとヤバイことになるってことですよね? そのタイムマシン使って過去に行けるんでしょ? 私行って止めてきます」
「いや、しかし、そうなるとまたどんな影響が起こるかわからないし、それにまだ動作が保証できないんです。行くことはできても、最悪戻ってくることはできないかもーー」
ああ、もう、うるさい。宇宙の命がかかっているんだ! そして、なぜか世界の命運も。
「いいです! 行きます! それしか方法ないじゃん!!」
言いながらタイムマシンに乗り込み、なんかヘルメットみたいな装置を取りつける。
「いや、しかし彼がどの時点の過去にいるのかーー」
「大丈夫 心当たりあるから! 早く出して!」
ぶつくさと心配事やら文句やらを並べて、先生はタイムマシンを起動させた。
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