0人が本棚に入れています
本棚に追加
○元の大洞家・リビングルーム
友代「こんなはずじゃなかったということ、いっぱいあるわ、人生には」
大洞「……」
友代「あなたなら、突然、弱っちのヒヨコになってしまった人の味方になれたのに」
大洞「友代……」
大洞、友代に触ろうと手を差し出すが、友代の顔をすり抜けて、向う側に行ってし
まう。
大洞「あちゃ」
サクラ「お母さん!」
友代「(我にかえる)」
サクラ「さっきから一人で何言ってるのよ。大丈夫?」
友代、大洞とサクラを見比べて、サクラには大洞が見えていないことを知る。
がっかりする友代。
サクラ「あのね、この家のことだけど」
友代「?」
サクラ「解放しない?」
友代「解放?」
サクラ「うん。地域の人に。お父さんも亡くなって、部屋、余ってるし。お年寄りや子供
に来てもらうの。お年寄りが子供に本を読み聞かせたり、一緒に遊んだりする場を作る
の」
友代「……」
サクラ「お母さんは、ちょっとしたおやつとか用意してくれない? この町内にも、行き場
のないお年寄りや、おやつも食べられない貧困家庭の子供がいるのよ。その人たちの力に
なろうよ」
友代「そんなこと、私にできるかしら」
サクラ「できるよ。お母さんだもの。お父さんもきっと、賛成してくれるよ」
友代「……お父さん(大洞を見る)。賛成してくれる?」
大洞、強くうなずく。
友代「やってみようかしら」
友代、大洞に話しかける。
友代「お父さんが生きていたら、政治家としてやろうとしていたこと、やりたかったこ
と……」
最初のコメントを投稿しよう!