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○街頭
大洞が選挙カーの上に立ち、マイクを握って、演説している。たすきには「自由正
進党 大洞佑太」の文字。
遠巻きに聞いている大勢の人々。
大洞「私は政権を担って以来、一貫して弱者のための政治を目指してまいりました」
選挙運動員、盛大な拍手をする。
選挙カーの上で、大得意の大洞。
○最獄裁判所・中
大得意の大洞が、浄玻璃鏡の鏡面に映っている。たちまち先ほどより一層大きな音
でキンコンカンコン鳴り、姿見の周囲に取り付けてある電球がすごい勢いでグルグ
ル周り、赤く光る。
閻魔「赤い電球は、真っ赤な嘘、ということじゃ。お前、大嘘こいたな」
閻魔の足元の蹴兵衛がペロリと舌なめずり。大洞、ぎょっとなる。
閻魔「ん? まだ何かあるようじゃ」
浄玻璃鏡に波線が走っている。
○国会内・委員会室
野党議員に答弁している大洞。
大洞「ズボラスタン王国から、レアメタルの採掘権を優先的に得ましたことは、我が内閣の
外交の顕著なる成果でございまして」
野党議員からヤジが飛ぶ。
ヤジ「密約があるんじゃないのか」
大洞「密約? そんなものはございません」
憤怒に耐えぬという表情の大洞。
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