第1話「政治家・大洞佑太」

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○街頭    大洞が選挙カーの上に立ち、マイクを握って、演説している。たすきには「自由正    進党 大洞佑太」の文字。    遠巻きに聞いている大勢の人々。 大洞「私は政権を担って以来、一貫して弱者のための政治を目指してまいりました」    選挙運動員、盛大な拍手をする。    選挙カーの上で、大得意の大洞。 ○最獄裁判所・中    大得意の大洞が、浄玻璃鏡の鏡面に映っている。たちまち先ほどより一層大きな音    でキンコンカンコン鳴り、姿見の周囲に取り付けてある電球がすごい勢いでグルグ    ル周り、赤く光る。 閻魔「赤い電球は、真っ赤な嘘、ということじゃ。お前、大嘘こいたな」    閻魔の足元の蹴兵衛がペロリと舌なめずり。大洞、ぎょっとなる。 閻魔「ん? まだ何かあるようじゃ」    浄玻璃鏡に波線が走っている。 ○国会内・委員会室    野党議員に答弁している大洞。 大洞「ズボラスタン王国から、レアメタルの採掘権を優先的に得ましたことは、我が内閣の  外交の顕著なる成果でございまして」    野党議員からヤジが飛ぶ。 ヤジ「密約があるんじゃないのか」 大洞「密約? そんなものはございません」    憤怒に耐えぬという表情の大洞。    
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