第1話「政治家・大洞佑太」

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○元の閻魔王庁・最獄裁判所    浄玻璃の鏡に、満面の笑みの友代が映っている。 大洞「友代……、苦労かけた。政治は、金がかかるんです。選挙一回で3千万円ですよ」 閻魔「高っ」 大洞「選挙事務所の費用、人件費、選挙カーのレンタル代、ポスター・ダイレクトメー  ル、演説会場費エトセトラエトセトラ。そもそも立候補するのに6百万円の供託金を預け  にゃならん。それも有効得票数の十分の一を得られなかったら、没収されるんですよ。ア  メリカやフランスでは署名を集めればタダ、イギリスは約8万円、韓国でも約135万円  で立候補できるのに」 閻魔「その制度、政治家が決めたんじゃろ」 大洞「三バンそろってる先輩政治家たちが決めたんです。地盤・看板・金庫番の三バン」 閻魔「なかなか大変じゃのう」 大洞「私はこの国を思うがゆえに、権力がほしかったんです」 閻魔「この国を思うがゆえに、という言葉に嘘はないか」    浄玻璃の鏡、静まったまま。 大洞「弱者を助けるためにも、強い力が必要じゃないですか。みんなが弱いヒヨコみたいに  ピーピーピヨピヨ泣いてばっかりだったら、どうすんですか。国が成り立っていかないで  しょう」 閻魔「弱いヒヨコ、ピーピーピヨピヨ、か……」
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