海咲ちゃんは猫好きのこと

3/3
前へ
/69ページ
次へ
「じゃあ、明後日行きたいなぁ。野乃花ちゃん空いてる?」 「もちろん」  塞がってた って空けるから大丈夫。 「やったね、じゃあ明後日ね。楽しみにしてる。何時にする?」 「じゃあ、十時ぐらいに駅前でどう?」 「うん、それで良い。えっと、へへ、た、楽しみにしてるね」  恥ずかしそうな言い方がたまらん。なんて可愛いんだ。私も楽しみ、そう伝えようとした瞬間だった。 「わ、わらひも……」  あれ?  上唇のあたりがどうも濡れている。舐めてみると、何とも鉄臭い。 「だ、だいじょうぶ?」  海咲ちゃんが電話の向こうで心配そうだ。ええい、空気を読まない鼻血め。 「うん、へーき。じゃあ、明後日ね」 「う、うん」  電話が切れた。ぽたり、と絨毯に血が落ちる。  うお、ヤベえ。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加