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鼻血ダイブのこと
私は慌てて天井を向いた。興奮して鼻血が出るってどれだけなんだよ。まあ、確かに楽しみだったし、海咲ちゃんのスイートボイスのおかげで興奮はしたけどさ。
これじゃ変態じゃないか。
私は手探りでティッシュを探す。ええと、どこに置いたかな。下を向けないというのは実に不便だ。
確かベッドの枕元辺りに……。移動しようと膝立ちになり、一歩進んだところで膝が何かに躓いた。
「あ」
そのまま私はバランスを崩し、ベッドの上に顔から倒れた。
薄い布団と、その向こうにあるスプリングの利いたマットのおかげで、私の顔が軽く跳ねた。その拍子に首まで衝撃が来る。
「てて……」
顔を上げ、枕元のティッシュを取る。それを鼻に当て、ベッドの上を見ると血のシミが点々とついていた。朝起きて、そのまま放置していたので、敷布団のシーツにべったりと一つ。そして、飛び散った鼻血は掛布団にもシミを作っていた。
「や、やば……」
慌ててティッシュで拭こうとしたところで、突然部屋のドアが開いた。
「野乃花、なんか変な落としたけど……」
振り返る私。引きつるはは聖子さんの顔。
「の、野乃花……その顔!?」
うん? 顔?
私は女子の必需品である手鏡で自分の顔を見た途端に悲鳴を上げた。
か、鏡の中に血まみれモンスターがぁ。
「いやいや、誰がモンスターよ」
自分で突っ込みを入れてれば世話は無い。
「なに? ケガではないの?」
「うん、鼻血がちょっとね」
出てしまった理由は言えないけどね。
でも、心配してくれたんだ。嬉しいな。私は思わず聖子さんに抱き着こうとした。血塗れなので、当然適度にいなされる。
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