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「ひっどーい」
そう言ってから、致命的なミステイクに気付いた。隠そうとしていたベッドが聖子さんには丸見え。
「おっと、やべぇ」
慌てて隠そうとする私。しかし、全ては手遅れ。
「何、そのベッド?」
「え、ああ、これは……」
「鼻血顔でベッドにダイブしたって事?」
「あ、いや……」
言い訳のしようがなかった。
何しろその通りだからだ。まあ、事故ではあるんだけど、迂闊でもあったんだよなぁ。そこのデリケートな感じ、きっと聖子さんには伝わらないだろう。
「そうやって、私の仕事を増やしてくれて、何のつもり?」
凄まじい怒りのオーラを感じる。
「家でゴロゴロしているだけならまだしも……」
「ご、ごめんなさい。自分で洗うから」
「当然。今すぐやれ」
「アイマム」
私はこれ以上ないぐらい機敏に動いた。
迂闊な動きは明後日のお小遣いに響く。
今だけはどのような辛酸も舐めよう。愛する海咲ちゃんとのデートのために、意地やプライドなど露店で叩き売る覚悟だ。
私は更に翌日も、聖子さんの下僕として家事全般をせっせと手伝った。
たまに怒られたりもしたけれど、私は元気だよ海咲ちゃん。
明日はたっぷりお金を持っていくからね。
金額は誠意。頼むぜ、ママン。
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