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待ち合わせの朝のこと
約束の日。
朝五時に目が覚めた。
「おおお、こんな時間に目を覚ますポテンシャルを私が秘めていたとは……」
目覚まし時計を眺めて愕然とする。
六時半に目覚ましをかけていたが、研ぎ澄まされた私の感性がそれを必要としなかったらしい。目覚ましのスイッチを切り、ベッドからでる。
家の中はどうやら静まり返っている。さすがに早起きしすぎたか。それでも父親にとっては平日のはずだ。六時ぐらいになれば、誰かしら起きるだろう。
ひとまず、今日の支度をしよう。
早起きをし過ぎたせいで聖子さんに「何者だ?」と問い詰められるなどという不要な一幕はあった。
それでも余裕をもって朝食を済ませ、聖子さんからきっちり五千円をせしめた私は、余裕をもって駅に向かった。
身だしなみは出る前に何度も確認したし、映画の時間もチェック済みだ。周囲の飲食店についても、ボリュームを優先でリストアップしてある。あまりの完璧具合に、私自身惚れ惚れしてしまうほどである。
待ち合わせの三十分前、駅に到着した。もちろんまだ海咲ちゃんは来ていない。
先に来て待つ。これ大事。
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