決死のお誘いのこと

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 読まれる前に消すべきか、と思ったときにはすでに遅し。送ったメッセージの横には、きっちり既読マークがついてしまった。この寒いメッセージを読まれてしまったかと思うと、本当に今すぐ首でもつりたい気分だ。  なんというか、行動する前に十秒考えると言うのは大事なプロセスだなぁ。 「久し振りー」 「元気してた?」 「映画、誘ってくれて嬉しい。ぜひ行きましょ~」  へ、返事きたぁ。  しかも、私のだだ滑りしたに違いない文面をスルーしてくれている。  さすがは私の天使。 「いぃぃぃぃやっはぁぁぁぁ!!!」  私は思わずその場で飛び上がり、ついでに喜びを最大限の奇声で表してみた。 「うっせーぞ、バカ娘!!」  ドアを蹴り開け、マイマザーのご登場である。全く、ノックも無しで年頃の娘の部屋を開けるなんて、困ったママンだこと。けど、今の私はとても心が広くなっているのよ。スカートの裾なんぞを摘まみ、しゃなりと会釈する事すらできてしまう。 「聖子様。チケットありがとうございます。次の誕生日は、期待しててくださいね」 「一昨日だよ」  ん?
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