決死のお誘いのこと

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「私の誕生日は一昨日だってのよコノヤロー」 「それはそれは……」  ミィィィスッたぁぁぁぁ。  だからいつも言っているじゃないか、大切な事はカレンダーにメモしろと。  うん、よく見ろ私、このカレンダーを。  ……カレンダーについた赤丸を? 聖子さん誕生日と書かれた文字を? 「メモしててくれたのね、優しい娘」  じゃあ、頭を鷲掴みするのを止めてたもれ。 「その割には、おめでとうの一言もなかったように思うけど? 私が耳鼻科に行くべき?」  割れるっ。それ以上は頭が割れるっ。 「私が眼科に行かせていただきます」 「他に言う事は?」 「オメデトウゴザイマス」 「で? 昼飯食うの? 食わないの?」 「イタダキマス」 「んじゃ、降りてきな」 「ハイ」  こうして私の頭は無事だった。  ほんとにつくづく、聖の一文字が似合わん女だな。  だが、今は従うのが吉と判断。日程調整等は後回しにすることにした。母親をガチ切れさせても良い事なんて何もないのだ。  それにしてもあれだな。カレンダーにメモするのって、ほんとに無意味だよな。
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