気づいてしまったから。

4/6
198人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
そうして私たちは、とある公園にやって来た。 花火会場から離れていることから、見える花火は小さいらしいのだが、高い場所に位置するので眺望が抜群とのこと。 あとは、花火が小さい分、人混みも多少避けられるのだ。プライベート感を楽しみたい方にお勧めとあったのだが…正直、恋人同士が多くて此方が照れてしまう。 「透子?」 「え!な、何何!?」 「どうした?挙動不審だぞ。」 「え!?全然!暑いからかな?」 (無茶な嘘を吐きました。ごめんなさい。) 恥ずかしい。些細なことが、なんとなく後ろめたい。 そんな時、 ドーーンッ! ドーーンッ! 花火が、打ち上がり始めた。 「うわぁ…。」 思わず頬がほころんでしまう。 「綺麗だな。」 「うん。」 色とりどりの光が空に咲く。そう言えば、初めてだ。男の子と二人きりで花火を見るのは。 それを思うと少しだけ肩が上がってしまうが、そんな緊張も直ぐに打ち消される美しさ。 赤、ぴんく、緑、青、黄色、数え切れない色の花が、その日は咲き乱れた。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!