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そうして私たちは、とある公園にやって来た。
花火会場から離れていることから、見える花火は小さいらしいのだが、高い場所に位置するので眺望が抜群とのこと。
あとは、花火が小さい分、人混みも多少避けられるのだ。プライベート感を楽しみたい方にお勧めとあったのだが…正直、恋人同士が多くて此方が照れてしまう。
「透子?」
「え!な、何何!?」
「どうした?挙動不審だぞ。」
「え!?全然!暑いからかな?」
(無茶な嘘を吐きました。ごめんなさい。)
恥ずかしい。些細なことが、なんとなく後ろめたい。
そんな時、
ドーーンッ!
ドーーンッ!
花火が、打ち上がり始めた。
「うわぁ…。」
思わず頬がほころんでしまう。
「綺麗だな。」
「うん。」
色とりどりの光が空に咲く。そう言えば、初めてだ。男の子と二人きりで花火を見るのは。
それを思うと少しだけ肩が上がってしまうが、そんな緊張も直ぐに打ち消される美しさ。
赤、ぴんく、緑、青、黄色、数え切れない色の花が、その日は咲き乱れた。
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