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桜散る春、高校一年。入学から一週間というのは短いようで長くて、俺、冴島渡は意外にも新しい環境にすぐに慣れていた。
「それもこれも、俺みたいな同中がいたからだろう!」
「それはそうだけど、お前に言われるとむかつくな」
オイ! と小気味良くつっこんでくるのは、俺の幼馴染みであり親友の仲森秋だ。中森明菜じゃないのかよ! とよく言われるお調子者である。
「にしても、まさか同じクラスに慣れるとはなー」
「新入生で同中だからじゃないのか?」
「あー、そうかも。流石にそこら辺の配慮はしてくれんのか」
納得したような様子で何よりだ、親友。
俺達の今いるこの学校、新月天川学園は幼稚舎から大学までのエスカレーター式の学園だ。しかも男子校。しかも金持ち学校。しかも全寮制。しかも排他的。……正直学園のこの措置はありがたい。
新月天川学園は、月と天の川という夜に見られる名前のため夜空学園と言われており―――そしてBL学園とも言われている。理由はお分かりだろう。ここはホモの巣食う学園である。
俺も秋も中学は共学の普通校だった。そんな俺達が何故この様なところに来たかと言うと、大雑把に言うと嵌められたからにすぎない。
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