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主犯は俺の母さんと秋の妹。この二人は何かと結託しており、二人とも見事に腐りきっている。そんな二人が、志望校選びをしている俺と秋の資料に何度も何度もこの学園の資料を紛れ込ませてくれるのだ。そして何度も何度もBL小説と漫画を見せてきて―――嫌だった俺は秋を生け贄にして逃げた―――見事秋が腐ってしまった。俺は腐らなかった。
まあそんな訳で、秋は悩みながらも自主的にここを選び、俺も思うところがあってこの学園に入った。どこぞのBL小説のような無理矢理じゃないのが救いかもしれない。
「お前らー、予鈴鳴るぞー!」
担任の栗先生の声が廊下から聞こえた。そういえば三時間目は現社だった。勢いよく机の中を見ると、秋が「じゃな」と言って廊下側の席へ戻って行った。
俺が指をぶつけながら教科書やノートを取り出し終えると同時に予鈴がなる。
「起立」委員長の馬場が声を上げる。「礼」「着席」
栗先生が紙の束をごそりと立てた。「今日はプリントだ。復習だから気楽にやれ」
先生がニヤリと口角を上げると黄色い悲鳴が上がった。
流石BL学園、チワワもちゃんといる。
「はい」前の古和が渡してきたのに礼を言ってプリントを見た。……こんなことなら教科書慌てて出さなければよかった。指痛いし、問題苦手なグラフ読み解きあるし。
「名前書いてすぐやれよ。じゃねぇと……」と勿体ぶって先生は何故か色気を撒き散らした。そしてチワワ達はまた黄色い悲鳴を上げて何故かシャーペンを机に置いた。名前を書かないつもりか。
そしてふと秋の方を見てみると……何故かにやけて机を無音でばんばん叩いている。その技術は地味に凄いが顔が気持ち悪い。
にやけ顔は秋の少し彫りの深い顔には変質者のようで似合わない。似合うとするなら、花畑が似合いそうなあいつとか―――
(あー、やばい。考えるな。勉強。プリント)
ふと脳裏に浮かんだあの顔を追い払うように軽く頭を振ると、俺は大問1の説明を食い入るように読み出した。
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