問1 青く澄み渡る冬を思い出せ。

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「渡、問題できたか?」 「全然だ。秋は?」 「俺もぜーんぜーん!」 はあ、と溜め息が同時に出た。俺と秋は現社が苦手なのだ。 「二人とも大丈夫? 三崎先生はああ見えて厳しいけど」 項垂れた俺達が声のした方を見上げると、馬場が肩を竦めて苦笑した。 「栗先生厳しいのかよ? ホストなのに?」と秋が不思議そうに聞くと「うん」と馬場が頷いた。 「中等部でたまに授業してくれてたんだけど、あまりにも出来ない人にチョーク飛んでいたからね」 ちょんちょん、と眉間を人差し指で叩く馬場。 「うわぁ……」 秋が嫌そうに顔を歪めた。 「馬場は頭いいから、チョークは来なかっただろな」 「そりゃ、まあね」 俺の言葉にふふん、と胸を張る馬場。 「まあ、〝本当に出来ない人〟にだったから、チョークを体験している人はそういないけど。…………というか」 先程とは売って変わって不機嫌そうに眉を潜めた馬場の顔が、ずいっと俺の目の前にやって来た。 「そろそろ名前で呼んでくれないかな。僕達、一応幼馴染み枠だよね」 「枠……」 「あっははは! 枠ってお前!」 ツボに入ったらしい秋が腹を抱える。今度はバンバンと音を立てて机を叩いた。 おいやめろ、周りが迷惑そうにしてるだろ。あと叩いてるの俺の机だぞ。 今だツボから抜け出せないらしい秋の頭を軽く叩くと、動きがピタリと止まった。 「秋……?」 「そうだよな、幼馴染み、枠……だもんな」 秋の身体が小刻みに震え、抑え込んで絞り出したような声が楽しそうに言葉を続けた。 「幼馴染み……枠、ぶふっ」 おい頑張れ。 「幼馴染み、だもんなあ。ふ、お決まりも知ってる仲、だもんなあ」 まさかこいつ、言う気なのだろうか、あの言葉を。 いや確かにお決まりは必ずやるからこそお決まりな訳だが、何もここでやらなくてもいいんじゃないか。流石に馬場が可哀想だ。 ちらりと見るとよく分かっていないらしい馬場ーーーいや、京午が不思議そうに首をかしげた。
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