日常

5/6
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「それで?」 講義の隙間でこそこそと声をかけてくるのは隣に座るパーカーをきた金髪男だった。 「それでって?なんだよ志藤。」 「だから、図書室の氷の麗人と話してて講義に遅れたのかって聞いてんだ。」 所詮、同じ講義をとっている友人というものだ。 友人はひどく講義に遅れた理由がきにかかるようだった。 「氷の麗人?なにそれ、つか、うけるんだけど。」 あきらはその仰々しい呼び名と、あきらの知っている姿には似つかわしくない。少し笑ってしまう。 「いや、なー。女子が遠巻きに騒いでんだよ。そんな有名人さまと貴重な一時過ごしてたのかよって思うじゃん?」 「黎明さん、そんな感じじゃねーよ。志藤も話してみりゃわかるよ。」 「えー、ほんとかよ。高矢ぁ。」 志藤は見た目は至極不真面目でヤンキーだがその実はビビりで弱気だ。 そのくせ、ミーハーで好奇心は人一倍だあきらは振り回されることもしばしばだった。だが、世話をやいてしまうのはあきらの性分だった。 「結局は話してみたいんだろ?実際話したらわかるから、びびってんなら俺が紹介すr 「こら、そこ!志藤、高矢!なにしゃべってんだ!きっちり講義きかねーか!」 この哲学の講師は非常に厳しかった。 「やべっ」 「お前のせいで!」 ((とりあえずここは)) 「「すいませんでした!!」」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!