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「それで?」
講義の隙間でこそこそと声をかけてくるのは隣に座るパーカーをきた金髪男だった。
「それでって?なんだよ志藤。」
「だから、図書室の氷の麗人と話してて講義に遅れたのかって聞いてんだ。」
所詮、同じ講義をとっている友人というものだ。
友人はひどく講義に遅れた理由がきにかかるようだった。
「氷の麗人?なにそれ、つか、うけるんだけど。」
あきらはその仰々しい呼び名と、あきらの知っている姿には似つかわしくない。少し笑ってしまう。
「いや、なー。女子が遠巻きに騒いでんだよ。そんな有名人さまと貴重な一時過ごしてたのかよって思うじゃん?」
「黎明さん、そんな感じじゃねーよ。志藤も話してみりゃわかるよ。」
「えー、ほんとかよ。高矢ぁ。」
志藤は見た目は至極不真面目でヤンキーだがその実はビビりで弱気だ。
そのくせ、ミーハーで好奇心は人一倍だあきらは振り回されることもしばしばだった。だが、世話をやいてしまうのはあきらの性分だった。
「結局は話してみたいんだろ?実際話したらわかるから、びびってんなら俺が紹介すr
「こら、そこ!志藤、高矢!なにしゃべってんだ!きっちり講義きかねーか!」
この哲学の講師は非常に厳しかった。
「やべっ」
「お前のせいで!」
((とりあえずここは))
「「すいませんでした!!」」
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