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 職業柄、色々な話を収集するのが癖である。  その中でも収集率が良く、個人的に楽しみにしているのが“怖い話”だ。  これは、たまたま立ち寄った居酒屋で知り合った、山田さん(仮名)という年配の男性が教えてくれた出来事である。  山田さんの趣味はドライブで、なにかと時間を作っては、海や山へと車を走らせていたそうだ。と言っても、車が特別好きなわけではなくて、遠出をし、見知らぬ土地を訪れるのを楽しみにしていたのだった。  そのときも、着の身着のまま、これといった目的地も決めずに都会を離れ、山を目指して走っていた。  ナビによると、山の中腹あたりを走っていたときだ、登山道を見つけた。  せっかくだから山登りでもしようかと気まぐれを抱かれた山田さんは、その近くにある、駐車場とは名ばかりの更地に車を停めた。  山田さんが気まぐれを抱かれるのはいつものことで、車にはあらかじめ山登りに必要なものを入れてあった。登山用の服やブーツ、リュック等々。食料の類いも準備してある。  山田さんは素早く準備を整えると、軽快な足取りで登山道へ向かわれた。  頂上に到着したのは、だいたい二時間後のこと。     
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