お父さん大好き!

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 チノではなく安理からこの言葉が出てきて驚いた。始めオレにはチノがいた。次に安理が現れた。その時の気持ちを安理に尋ねた。安理自身とチノの気持ちを。オレはゆっくりと安理に聞くと、こういった答えが帰ってきたのだ。 「チノちゃんはね、いつも一緒にいるから平気なの。お父さんを取られるなんて思わないの。由紀先生はね、きっと本当のお父さんがいなくなったの。優しくて強いお父さんが大好きだったんだと思うの。私のお父さんをあげたかったんだけど、でも、でも、そう思ったら…わたし、寂しくなっちゃったのぉー! えーん! おとうさん、だいすきぃー!!」  そういうことか…子供って、すごいな…。オレは安理の頭を優しくなで、抱きしめた。友梨と悦子も、安理につられて泣いていた。  オレは時間を設けて、由紀に話を聞いた。 「…お父さん…私が五才の時に仕事中の事故で亡くなったのです。でも、お父さんが強くて逞しくて、それにちょっと乱暴な口調とかも…私は好きでした。先日、御座成さんが盗撮者を捕まえた時に、『あっ! この人』 って思ったのです…」  また出てきた。これで三人目か…。しかし今度は恋愛対称ではないので助かった。 「…私、気が動転してしまって、うまく言葉が出なくて…でもすごく嬉しくて! なんだか告白したようなことを言ってしまって…本当にご迷惑をおかけしました」     
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