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プロローグ
その奇妙な店は、住宅街の中心部にその存在感を示す様なおどろおどろしい存在感を醸し出す佇まいを持って建っている。
などということはなく、少々アンティーク的な木造の建物だ。
歩道から見ると、人形がずらりと並んでいる。
――アンティークドールだ。
奥の方に目をやると、この店は人形のアンティークショップのように思えるのだが、奇妙なことに店の名前がない。
しかし、入り口を思わせる扉に、『ご自由にお入り下さい』と書いた札が吊られている。
店なのか店でないのか、博物館的なものなのかはよくわからないが、オレはこの店に強い興味を持ったので、足を踏み入れることにした。
通常、こういった扉にはカウベルなどを取り付け来客を知らせるものなのだろうが、
音をたてずに扉は開いた。
人形たちの眼が一斉にオレを見る。
――いや、特に睨まれたわけではなく、オレがそう感じただけだった。
一点一点くまなく見て回る。
特に人形に興味はないのだが、仕事ですさんだオレのこころを癒してくれるようなこの空間がオレは気に入った。
オレは足を止めた。
人形の置かれたテーブルの上に、一本の棒がある。
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