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死神仕事の特別な条件
「…あたし、妬けちゃうわ。あんなことを… …あんなにすごい…」
なんと悦子は姿を消し、あの部屋にいた。オレ達の行為を間近で見ていたという。
「今のあたしでは絶対に無理よ。きっと…痛いもの…」
友梨は、「朝からするんじゃないわよ」と、睨みを効かせひと言言ってから仕事に出かけた。その本気の眼に悦子はおびえたらしい。今はキッチンで悦子ふたり、朝食バトル中だ。
「早くいい男を見つけろよ。そうすれば、あんなことだってなんだって出来る。オレ達が何百回身体を合わせていると思う?」
「…何百?! えっ、そんなにぃー!」
「7年、いやもう8年目だ。丸7年で、あ、そうだな…1000回、超えたかもな」
悦子は意気消沈したようだ。入り込む余地はない、などと考えているのだろうか。
「普通のね、絡みだったらあたしの割り込む余地もあるかなぁー、とか思っていたけど、コーちゃんまたいじめて楽しんでたもん… …まだまだ友梨さんと別れそうにもないしぃ… …あたし、どーしよー…」
悦子は少し剥れた顔でオレを見る。確かに悦子は魅力的だが、それは身体と顔だけだ。内面は確かに気にかかるところではあるのだが、どうしても友梨と比べてしまう。考えてはいけないが、無理にでも昨日の夜は悦子を誘うのではなかったと考えてしまう。
だが、悦子は喜んでくれた。記念日だと言ってくれた。それを踏みにじることもオレにはできないのだ。そしてオレはまたいらない事を必ず言う。
「まだ痛いだろ? 痛くなくなったらあのフライドチキン、また食べに行こうか」
「うん! いく! 今日でもいいよ。ガマンするから!」
「痛くなくなったらって言ったろ。今日はガマンしろ。…あ、ごめん。命令形はオレのご法度なんだ。あまりエラそうにしたくなくてね。でも、悦子と話していると、妹のような気がしてさ。ついエラそうなことを言った。許して欲しい」
悦子はきっと複雑だったと思う。これはナチュラルに悦子を拒否することになるから。一番近い異性の妹という存在は、兄と結ばれることはないのだ。
「近親相姦、燃えちゃうよねっ!」
悦子は、意外とタフだった。まあ、天然だろうけど…
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