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「行くかい、そろそろ?」
「フライドチキン、楽しみよ!」
「なに言ってんだ。デヴィラのとこだ」
オレ達は律儀にデヴィラの申し出を受け、あの職場でもある肉欲のフロアを目指して飛んだ。
「コーちゃん、少しだけでいいの。ゆっくり飛ばない?」
悦子は景色をゆっくりと観たいようだ。やっはり今の悦子は妹のようにしか見えない。いや、思えない。
「ああそうだな。呼び出しがあった訳じゃないからな。ちょっとした空のデートを楽しもうか」
「うん! ありがとう、コーちゃん!」
お互い姿を消しているので表情は見えない。だが悦子の明るい笑顔はその口調でよくわかった。悦子はゆっくりと地上を見ながら飛んでいる。手を繋いでいるので、様子がよくわかる。本当は姿を現して表情を見てみたいのだが、ここはガマンするべきだろう。地上などから写真にでも撮られたら面倒だ。
「…なんだろう… なにか変じゃないか。水平線の向こう。滲んで見えないか?」
この高さであれば海まで景色が見えるのだ。その水平線が、なんだか妙だ。
「ほんと、蜃気楼…のようにも見えるけど、何か起こるのかな?」
「楽しんでいるところ悪いけど、少し急がないか。気になるんだ」
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