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「ダメだ! 報告は受け取った。じゃあなっ!」
デヴィラが疲れたように肩を落とす。そして、涙を流しながらゆっくりとオレに顔を向ける。
「…なぜだろう… 悪魔が涙なんて… 悔しくて、切なくて、胸が苦しくて、嬉しくて…」
オレはデヴィラに近づいて口元の血を拭う。デヴィラは肩を震わせながら、オレを抱きしめた。オレもデヴィラを優しく抱いた。
「今日は帰ってゆっくり休んでくれ。 …休んでくれ、頼むから…」
きっとデヴィラは、オレと悦子がこのあとまた絡むのだろうと思うと胸が張り裂けそうで辛いのだという感情をオレに伝えたのだと思った。オレとしてはどうすればいいのかわからないのだが、はっきりさせておくべきだと思ったのだ。
「オレとエッちゃんはこれから楽しんでくるぞ。エッちゃんもさっきは消化不良だったろうからな。じゃ、また明日な」
「イヤだ! イヤだ! ダメだ! …やめてくれ、そうじゃないと、オレは…」
デヴィラはオレにではなく、悦子を睨む。そうだろう、そう思うだろう。オレではなくオレの相手をデヴィラは貶めるつもりだ。
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