プロローグ

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オレの眼が開いた。   ここは、どこだ。   ジュークボックスが見える。 振り返るとコーヒーサーバーがある。 オレの足元にはテーブルと椅子。 いやこれはオレの視界ではない。 オレは天井付近で立っているのではないのか?   オレはあわてた。 オレは宙に浮いているのだ。 オレが『床に…』と考えた途端、オレは床に立っていた。 オレは呆然とした。この状況がどういうことなのか、誰かに説明してもらいたかった。 しかしすぐにわかった。 オレは視線を手に向ける。 そこには、床があった。 足元を見る。 床だ。 オレの視線にいつも入り込んでいた鼻の存在もない。 オレは考えた。オレは、きっと、透明人間になったのだ!  そうオレは、死を受け入れられなかったのだろう。 オレは死んだのだ。 あのコーヒーには睡眠薬が入っていてオレを眠らせ、何らかの方法で死に至らしめた。 そしてオレは肉体を離れ、幽体になったのだろう。
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