プロローグ

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しばらくは呆然とした。 しかしオレは生きている時から考えていたことがあった。 幽霊は壁ヌケができるのか? 物に触れられるのか… などなど… オレは手当たり次第にあたりに触れまくった。 ありとあらゆる物に触れようとした。 だがそれらは虚しく、『スカッ』という音がするように、オレの手をすり抜けた。 やっぱりオレは透明人間じゃなく死んだんだな、とまるで他人事のように思った。   オレの視界にアンティークドールが置かれているテーブルの上にあるあの棒が輝けるような姿で転がっていた。 いや、輝いてはいないこれはただの比喩だ。 ただ、まだそれには触れていないので、オレの期待度を表現しただけだ。 そう、何かに触れることでオレはここにいる! とオレ自身の手で証言できるかもしれないのだ。 せめて、彼女にだけはオレの存在を知らせたかった。 どうしても…
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