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そしてオレは目の前にある物体を見た。
これは、生きていた時のオレだ。
特に悔しいとか寂しいとか元に戻りたいとか、そういう気持ちはなかった。
ただ呆然と、オレはその物体を見入った。
オレは直立不動で凍っていた。
特に支えなどはないように思えたが、腰の辺りからロープが見える。
これで吊られているようだ。
ここまで来たからにはやってみようと思った。
元のオレの身体に戻れるのか。
いや、完全に凍っているのできっと無理だろう。
しかしオレはオレの身体にピッタリと重なり、奇跡を信じた。
信じても奇跡は起きないものだ。
何の反応もなかった。
このオレだった肉体は、ただの肉塊に過ぎなかった。
こうなったからには悔やんでも仕方がない。
犯人がどういう人物なのか、あまりそういう方向に明るくないオレでもわかった。
きっとこれは臓器売買、なのであろう。
そしてまだ先に扉がある。
きっとそこにはまた準備室があり、手術室があるはずだ。
この店の裏手はきっと病院だろうとオレは考えた。
先に行く前に辺りを見渡した。
オレだけではなかった。
数えると11体あった。
まだ制服姿の女子学生までいる。
オレは残念に思った。
彼女がとても美人だということと、ナイスバディーだという理由だ。
多分こんなオレだから、こんなことに巻き込まれたのだろう。
オレは彼女に小さく、成仏してください、と言った。
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