デヴィラの苦悩

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「お前、オレがそれを嫌うことをわかっていてしようとしているのか? それともお前はそれがわからないほどバカなのか。お前だけなんだぞ、友梨にもわからないことをお前は知っているんだ。なぜお前にはオレの気持ちがわからない。オレの全記憶を持っているのなら、オレをもっと知れ。この先は、それをお前がクリアしてからだ。理解、できたよな?」  デヴィラは、『ハッ!』と息を飲む。そして俯き、視線が定まらない眼を床に向ける。眼を閉じ、動かず考える。そして、オレではなく悦子に向かい歩き出した。悦子はついさっき、デヴィラからの殺意を感じたはずだ。しかし悦子は堂々としたものだ。全くデヴィラに怯むことはなく、デヴィラの眼だけを見ている。 「エッちゃん、どうだ! 功太の全てはオレの中にあるのだ! うらやましいだろ!」  なるほどな。デヴィラらしい物言いだ。デヴィラは気付いているのだろうか。ホホに伝う、新たな涙を。 「ええ、うらやましいですわっ! でもあたしは、功太さんに口説かれたのよっ! デヴィラさんとは違いますからっ!」  悦子も負けていなかった。デヴィラがワナワナと震えたが、さっきのような殺意はない。今までのデヴィラに戻ったようだ。 「エッちゃん、悪いけど先に家に戻っていてくれないか。30分ほどしたらオレも戻るから。いいかな?」 「はい、待ってるわ。30分よ」  悦子は軽く飛び上がり、手を振るチノに手を振り替えし、トンネルを抜けて行った。オレはデヴィラを睨んだ。 「エッちゃんとの時間を30分も削ってくれたんだ、どうなるのか、わかってるんだろうな…」     
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