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アルバイトを始めて1ヶ月くらいたったある日、私は搭乗ゲートのスタッフとしてクローズまで入っていた。
「咲良、ちょっと早いけどあがっていいよ。」
「ありがとうございます!お疲れ様です。」
クローズ直前で雨が降り出したため、早めのクローズとなった。
アトラクションリーダーの夏帆さんに言われて、私はロッカーへ向かった。
着替えを済ませ、ロッカーを出たところで人とぶつかりそうになった。
この人は確か…片寄朔矢さんだ。
名前が少し似てるし、素敵な名前だからなんとなくフルネームで覚えていた。
ミニゴンドラの設備担当の人で、よく顔は見る。
長身で、きっと30歳半ばくらいの年上の方で。
第一印象は…無愛想。
今も雨の中作業していたのか、髪の毛が濡れていた。
「あの、これよかったら使ってください。」
私は未使用のタオルをかばんから出して、手渡した。
そう、この日が片寄さんと初めて話をした日だった。
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