39人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、片寄さん、お疲れ様です。」
「あぁ、お疲れ。」
ある日、私が事務所の前を通ると、片寄さんが出てきた。
ちょっと顔が赤い気がしたけど。
気のせいかな?
「片寄、もしかしてこの子か?」
片寄さんの後ろから、年配の男性が顔をのぞかせた。
「はじめまして、私は源といいます。どうぞ"ゲンさん”と呼んでください。」
片寄さんはこっそり社長さんだと教えてくれた。
「片寄とデートしてくれたみたいだね、ありがと。」
「いえ、社長、あのこちらこそとても楽しかったので、ありがとうございました。」
私は深々と頭を下げた。
「そんなかしこまらなくても。ただのエロいおっさんよ。」
頭を上げると、片寄さんの隣に美しい女性が立っていた。
「大山、ひどいことを言うのー。」
私は記憶の中から大山さんを呼び起こした。
研修の時に講義してもらったし、今もクレーム処理とか担当している偉い人だった。
「片桐は無口だし無愛想だし、つまんなかったでしょ?」
「余計なお世話だ。」
スレンダーで背の高い大山さんは、長身な片寄さんとお似合いだった。
最初のコメントを投稿しよう!