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正直、彼女と一緒に座れるものなら、僕は公園のベンチでも茣蓙でも構わないのだが、彼女はそうでは無いらしく、数時間をかけ吟味し、そう安くないものをカードの分割払いを利用し、購入した。
お得な話が大好きな彼女の「分割手数料が無料なんだって!」という言葉は、とても弾んでいた。
家具を後日発送してもらう事にした僕達は、続いてショッピングモール内にあるペットショップへとやってきた。
彼女はとてもテンションが上がっているらしく、子犬が視界に入った途端「きゃー!」という小さな悲鳴を上げる。
「みてみてあの子! 凄く可愛いよー!」
「君のほうが可愛いよ」
僕の渾身の口説き文句は華麗にスルーされ、彼女はガラスに張り付き「可愛いー!」と連呼する。どうやら彼女はポメラニアンが好みらしく、毛並みがフワフワの、まるで綿飴のような白いポメラニアンに釘付けとなっていた。
ほんの少し嫉妬心が湧き上がるも、大人な僕は彼女の隣に立ち「可愛いね」と相槌を打つ。
ここのペットショップはとても大きく、多種多様な動物を取り扱っていた。犬猫は当然として、ハムスターや鳥、兎やフェレット、ヘビやカエルなんかも居る。それらを二人で見て回ったのだが、彼女は常に笑顔で常に機嫌がいい。こんなにご機嫌なのはとてもめずらしい事だ。
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