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彼女の言葉は正しい。僕が考えていた事以上の事を、考えていたらしい。
安いのには理由があり、それなりのリスクがある、という事なのだろう。
しかしあのダックスフントも、好きで病弱に産まれてきた訳では無いだろうに……。
結局僕達はこの日、犬を買う事を断念して帰宅する。自分の好きな家具を買う事が出来た彼女は大変機嫌良く「今日は腕によりをかけて料理つくりまーす!」と元気な声をあげ、張り切りながらキッチンに立った。
僕はダラダラとダンボールの開封をしていくのだが、どうしてもあのダックスフントの事が頭から離れない。
トイレへと立ち、鍵を閉めて、ズボンは下ろさず便座に座る。そしてスマホを取り出して、まずは犬の病気について、調べ始めた。
数週間後、ようやく僕と彼女の休日が合った週末に、犬を飼うという事を諦めきれない僕達は、再びペットショップへと足を運んだ。彼女はやはり、お気に入りの白いポメラニアンに釘付けとなっている。
僕はそっと彼女の隣から離れ、ダックスフントが居る場所へと向かった。ダックスフントはやはり売られておらず、地面に体重の全てを預けるように、ペタンと寝転んでいた。
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