犬を飼うため買いに行く

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犬を飼うため買いに行く

 三年半付き合っている彼女との同棲生活がようやく実現し、僕は浮かれていた。  一軒家が立ち並ぶ住宅街の中にそびえ立つ、二十階建てのアパート。そこの五階にある角部屋が僕達の新居だ。そこで迎える始めての朝、荷解きをしている僕は鼻歌を漏らしながら作業をしていた。 「ペット飼おうよ」  完全に浮かれてしまっている僕の頭は、引っ越しにかかった費用や家賃の事など考えもせず、とても軽はずみな言葉を彼女へと告げた。  現実的思考を持つ彼女はこういった時「絶対に駄目。お金どうするの?」と、問い詰めるように怒ってくるのだが、どうやら彼女も浮かれているらしく、瞳をキラリと光らせたかのような表情を作り「犬にしよう」と、僕の話に乗ってきた。 「えっホントに?」 「うん。犬欲しい」  彼女の満面の笑みに、僕はとても嬉しくなる。この子と一緒になって正解だったと、わざと大げさに思った。  午前中に近所への挨拶を終えた僕達は、近所にある大型ショッピングモールへとやってきた。  大抵の家具や家電は今まで使ってきたものを流用するつもりだが「テーブルとソファーだけは新品にしたい」という彼女の意向は無視出来ず、それらを見て回る。     
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