番外

3/5
159人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
「早く、 喉に詰まったりんごを吸いだしてくれ」   一生懸命その通りにしてくれようとするリリと 口の中に残った最後のりんごを存分に味わい、 まだからかわれていることに気付かない悪魔に ネタ晴らしをする。 「こうして、 白雪姫は王子様のキスで 喉に詰まったりんごが取れ、 息を吹き返しました。 …本当は 運んでいた棺が揺れた拍子にだが、 キスで目覚める方がロマンチックだよな」 「平気か? りんご取れたのか?」 「この話は知らないのか?」   うろ覚えの白雪姫を 頭から話してやることになるとは思わなかったが、 無駄な心配をさせられたと 膨れるリリを宥める為に記憶をかき集める。   だが、ふたりは幸せになりました と行きつかないうちに、 リリは怪訝な顔で覗き込んできた。 「なんでお前が その話をそんなに詳しく知ってるんだ?  あ! やっぱり、 お前俺達の仲間なんだろ。 俺を騙して何か企んでるのか?  …どうせ、 小悪魔は使役されるもんなんだ。 ……嘘だけは、勘弁しろよ」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!